2013年4月11日木曜日

中国H7N9短信 感染ルートのミッシングリンク

中国でH7N9が発生して以来言い続けてきたが、今回の感染拡大の背景としてどうにもわからなかったことが2つある。

(1)弱毒性だったはずのH7N9が強毒性になった理由
(2)人への感染ルートがわからない


今回の感染拡大のミッシングリンクがこの2つだった。

そして昨日の夕方、どちらの答えにもなる情報がようやく出てきた。しかしながらソースは大紀元なので、いつものことながら当ブログでは真偽の判断は避ける(中国政府オフィシャルの情報とどっちの信憑性が高いんだ?と訊かれたら・・・ですけどね:笑)


・家畜や家禽への大規模感染は昨年末からすでに中国の一部地区で発生していたが、当局は公表していなかった。それが今回「ついにヒトへの感染に発展して、隠しきれなくなった」と述べる一方、当局が発表するデータは改ざんされており信用できないとも指摘した。

・「中国国内では、鳥インフルエンザが毎年発生している。H7N9型ウイルスは長年の遺伝子変異の結果だ。そして今回、ついにヒトへの感染に発展した」

・同氏の情報では、昨年4月から5月にかけて、河北省石家荘市で発生した鳥インフルエンザは最も深刻で、家畜の死亡率は80%に達したという。また、昨年12月頃から、河南省や、山西省、陝西省などの各地で、ニワトリの鳥インフルエンザが大規模に発生し、陝西省では約50%が病死または殺処分された。

・「当局はこのことを公表せず、報道もしなかった。20数年来で、これほどの感染は初めてだ」

前述のように真偽の判断は避けるが、真実であるとすれば、これこそが文字通りのミッシングリンクである。

中国H7N9短信 感染例33ケースに増加(死者9名は変わらず)

感染例が33ケースに増加しています。

人民日報「全国共报告33例确诊病例 上海一患儿治愈出院」20134/11 07:52am

・中国の国家衛生家族計画委員会発表によれば、感染確定例は本日33ケースに増加している。
・上海(15ケース、死亡5ケース)、江蘇省(10ケース、死亡1ケース)、安徽省(2ケース、死亡1ケース)、浙江省(6ケース、死亡2ケース)となっている。

・確定例同士のあいだで感染があった兆候は見つからず、濃厚接触者は経過観察措置が取られているが現状では異常は見つかっていない。ヒトヒト感染の兆候は依然としてない。

以上です。



2013年4月10日水曜日

中国H7N9続報 感染確定患者は31人(死者9人)に

本日は感染例が増えたニュースがちらほら。感染源や感染ルートは以前不明のままです。不思議なこともあるものです。まるでウィルスが空から降ってきたかバラまかれたかしたような印象。

中国新闻网「中国确诊31例H7N9病例9人死亡各地全天候监控」4/10 15:07pm

・4月9日、浙江省杭州市にある病院で、人々はH7N9インフルエンザの罹患を防ぐ為に、中国の伝統的な風邪薬である香囊を買い求めていた。


・4月10日、北京の「中新网」は、H7N9の31人の罹患者、9人の死亡者を報じた。
・江苏省の当局発表によれば、新しい患者のひとりは70歳男性、現在は重篤、濃厚接触者は18人。
・もうひとりの患者は74歳男性、同じく重篤、濃厚接触者は13人。
・疫学調査の結果によれば、H7N9感染が確定したケースはそれぞれ接触はなく独立しており、引き続きヒト−ヒト感染の兆候は認められない。

筆者注:
・この写真の香囊ですが、もしかしてタミフルの原材料である八角が詰まってるのかしらん?などとおバカな想像をしました。英訳ではよく読み取れなかったのですが、漢方薬が詰まっているようです。
・ご老人の罹患者が目立ちます。体力、免疫力の弱い高齢者の罹患と言う意味ではわかりやすいのですが、逆にインフルエンザにかかりやすいと言われる子供の例がないのはちょっと不思議です。

2013年4月9日火曜日

北朝鮮ミサイルからの退避行動など

中国のH7N9に気を取られている隙に、北朝鮮がミサイルを日本に向けて明日撃つなどと言い出している。発射の目的も目標も予測するのは難しいが、何が起こっても対応できるようにしておくのが危機管理。いまからでも出来る準備を3つ書いておく。

(1)リアルタイム情報の収集体制
(2)退避行動の基礎(UUUの法則)
(3)退避行動の開始/待機解除のタイミング


順番としては、情報収集>警報>退避>待機>待機解除の順番で考える。

(1)リアルタイム情報の収集体制

ミサイルが打ち上げられてから日本の国土にどれだけの時間で到達あるいは通過するか、着弾目標やコースによって変わるので予測は難しいが、ひとつだけ言えるのは「数時間」ではなく「数分程度」のオーダーである可能性が高いということ。つまり発射が確認されて、仮に日本国土が目標だった場合は対応する時間がほとんどない。

J-ALERTシステムからの防災無線の警報、テレビ・ラジオの臨時ニュース、首相官邸からのLINEメッセージなど、リアルタイムで警報が届く仕組みと、それを組織に伝達する仕組みは事前に構築しておきたい。


(2)退避行動の基礎(UUUの法則)

いままで日本近海を飛んだミサイルに兵器は搭載されていなかったが、今回もスカミサイル(スカッドではない)かどうかは予断は許さない。NBC(核・生物・化学)兵器が搭載される可能性、兵器は搭載されていなくても迎撃されたミサイルの破片が落ちて来る可能性、あるいは原因はわからないが退避行動が必要になる可能性がある。

以下、米国のCERT(Community Emergency Responder Team)と呼ばれる市民レベルの危機対応マニュアルから初歩の対応をご紹介する。CERTの教科書によれば退避の原則は「UUU」と言われる。

Upwind:風上に逃げる。
Upstream:上流に逃げる。
Uphill:高い方へ逃げる。

また、BC兵器が搭載されていると考えられる場合、出来るだけ建物の奥深くに迅速に退避する。そして以下のシールディングを行なう。

・換気装置を切る。
・窓やドアなどを事前に用意・カットしたガムテやビニールなどで目張りする。
・ラジオ等で状況をモニターする。
・消防や専門家などの安全宣言を待ってシールドを解除する。
・安全宣言を待って室内の換気を行なう。

核爆発と思われる閃光を感じたときは、以下の対応が薦められている。

・出来るだけ身体を平らにして地面に伏せる。
・距離が遠い場合、30秒程度の避難時間が得られる可能性がある。
 できるだけ早く、出来るだけ奥深く、建物の中に入る。
・爆発地点と自分を隔てるためにありとあらゆる壁を作る。
 地面、コンクリート、本など何でも良い。
・避難や治療の必要性がない限り、放射線を避ける為に2、3日立てこもる。



(3)退避行動の開始/待機解除のタイミング

・退避開始はJ-ALERT連動の防災無線、テレビ・ラジオの速報で。
・ミサイルの落下、通過、その結果の影響が判明するまでは基本的に屋内に留まる。
 ただし火災からの退避や治療の必要性が生じた場合は除く。
・待機の解除も基本的には公的機関からのアナウンスを待つ。

いまからお金をかけずに準備できることを列挙してみた。それにしても地震や新型感染症だけでなく、隣国からのミサイルまで注意しなければならないとは。実は紛争地帯に住んでいるんだということを実感しますね。

中国H7N9短信 感染例が24ケースに増加、うち死亡例は7ケース

速報です。

人民日报「江苏新确诊3例人感染H7N9 全国共24例」
上海で新たに3ケースの感染例が見つかる、合計24ケースに(死亡例が7ケース)

・64歳、リタイアした男性。
・4月1日、悪寒を感じ自分で投薬。体温は計測せず。
・4月3日、39℃の発熱で来院、急性肺炎の診断、対症療法を実施。
 なお記事には書いていないがこの日は帰宅した模様。
・4月7日、呼吸が切迫、9:15amに来院、重篤な肺炎と診断される。
・4月7日、18:45pm死亡。同日夜上海CDCの検査でH7N9ポジティブが判明。
・4月8日、濃厚接触者4人が経過観察中、現時点で異常なし。

なお回復したケースも報じられています。H7N9が弱毒性であることの可能性を記事では示唆しています。

・上海、4歳の子供、H7N9ポジティブ、現在回復の途上にあり。
・H7N9が軽い症状で済む可能性を示唆している。

以上。

中国H7N9 4月8日続報 情報の信憑性が低い状況は変わらず

H7N9の続報をお伝えします。相変わらず中国からの情報の信憑性が100%でない中で、事実情報の把握につとめています。以下に各種ニュースのリンクを貼ってご紹介していきますが、報道によれば、感染者の数は中国当局の発表より多い可能性が指摘されています。

(1)感染は拡大中、予断は許さない状態


・WHOの最新のアップデートから(4/07)
Human infection with influenza A(H7N9) virus in China - update
・21のケースでH7N9感染が確定、6人が死亡、12人が重篤、3人が軽い症状。
・タミフルとリレンザは治療薬として有効。

・台湾に感染拡大の可能性
台湾发现5例疑似H7N9流感 3例昨天已排除
・5人の感染が疑われていたが、3人は感染していないことが判明、2人は検査継続中。

・香港に感染拡大の可能性
香港收到9宗疑似H7N9禽流感病例 已排除2宗
・9人の感染が疑われていたが、2人は感染していないことが判明、残りは検査中。


(2)感染源はウズラ?(やや疑わしい内容)

FNNニュース 中国・鳥インフルエンザ ほぼ同型のウイルスを広範囲で検出
・上海から得た鳥類738のサンプル検体から19のH7N9感染を発見。
・検査をしたサンプルは、上海市内の3カ所の市場の鶏やハトから採取したもの。
・上海に隣接する浙江省杭州市の感染者が、市内の商店でウズラを買って肉を食べていたことから、地元当局が調べたところ、この店のウズラから、H7N9型のウイルスが検出された。

この感染経路は、やや疑わしいと言わざるを得ない。過去、食肉から鳥インフルエンザに感染したケースは世界でひとつも知られていない。本当にこのウズラが感染源なのかどうか、きちんとした調査の結果を知りたいところだ。そして感染経路によって、注意すべき対象や現地の対策が変わって来る可能性がある。


(3)感染者はもっと多い?(真偽の判断不能)

大紀元 鳥インフルで3人目の死者 ユーザーら、政府情報に疑いの目(4月4日)
筆者注:ご紹介はいたしますが、筆者は真偽の判断を行ないません。

・微博(中国版ツイッター)上では、当局が発表した感染例以外の感染情報も流れている。3日午後、ユーザー・蘭調絲語は、「うちの病院の救急患者がたった今、鳥インフルで亡くなった。私は同済大学同済病院にいる」と投稿。しかし、この投稿は間もなく削除された。
・3月24日にもユーザー・硬木花道による死亡情報の書き込みがあった。「発熱外来には、ここ数日、原因不明の肺炎患者が来ている。死亡率は極めて高い。6人中5人が亡くなっている。疾控センターはなぜ動かないのか? 医者や患者を守る責任があるはずなのに」。この投稿も現在、削除されている。

真偽の確認ができないので、この記事の信憑性の判断は読者各人にお任せする。このような記事が出る一方で、中国語に堪能な知人によれば微博(中国版ツイッター)上での流言飛語がひどく、嘘の情報を流した容疑で逮捕者まで出ているという。


(4)そして現地からのリポート

上海へ出張中の知人・松田壮逸さんによれば「夜は南京東路では大音量でオバハン達が整列して踊ってて笑えるけどうるさくてジャマだぁ〜」だそうです。南京東路とは日本で言えば銀座のホコ天のような目抜き通り。マスクをしている人は松田さんのみ、中国市民は何事もないかのような生活をしている様子(踊ってるおばちゃんの写真も松田氏)


罹患すれば死ぬような病気の流行の兆しがあるというのに、これは感染症に対する知識レベルの低さから来ているのではないかと想像している。この写真を見て、私はある予測を持ったのだが、それは明日また書きます。

2013年4月4日木曜日

中国のH7N9をめぐる3つの不自然なこと


3日前から上海でのH7N9をめぐる報道が徐々に加熱してきている。私は危機管理の専門家として、また事業継続の専門家として新型インフルエンザを研究してきたので、この感染症については少しは知識がある。前回のH1N1騒ぎのときは東大理Ⅲを出た医者にインフルエンザの講義をしてあげたぐらい(笑)

冗談はさておき、今回の報道には3つの不自然さがある。どうもおかしな騒ぎに発展しつつあるので、いまのうちに指摘しておきたい(長文です)

【不自然その1:H7N9由来の鶏・豚の大量死がない】

今回もっとも不思議なのは、関連しそうな鶏や豚の大量死の事実がないことである。「いやいやいや上海・黄浦江上流で豚がたくさん死んだじゃないか」と思うかもしれないが、あれらの豚からはH7N9が検出されていないというニュースが流れている。

(Yahoo News)
Chinese toll from new bird flu rises to 9 cases, 3 dead

(国内ニュース)
鳥インフルH7N9型、WHOは「感染源がブタの可能性も否定できない」―中国メディア
”上海市動物疾病コントロールセンターは1日、中国農業部獣医局と上海市農業委員会の求めに応じ、黄浦江の上流地域から大量に漂流してきた豚の死骸から抽出・保管した34体のサンプルを対象とした鳥インフルエンザの検出検査を行った。この結果、鳥インフルエンザウイルスは発見されなかった。

また昨日のテレビ報道では、感染者のひとりは市場の鶏肉売り場で働いていたというもっともらしい情報をながしていたが、テレビ画面に写ったその市場の様子を見ると、ケースに入れられた鶏は顔色も良く(笑)、ぴんぴんして元気そうだった。もともとH7タイプは弱毒性なのでそのせいかもしれない。

感染ルートはほんとうに鶏ないし豚由来なんだろうか?という疑問がわく。実際に人が罹患している訳だから、科学的に説明のつく感染ルートはあるはずなのだが、いまのところわかっていない。これが1番目の不自然。


【不自然その2:感染がいきなり広範囲で始まっている】

こちらの地図を見ていただきたい。上海周辺に3つのピンが立っていて、それぞれがH7N9の感染例を示している。


http://healthmap.org/promed/

しかしながら、これがものすごく不自然だ。普通に報道を見ていると気づきにくいのだが、これらの3点の距離は、東京・名古屋間ほどもあるのだ。A/H1N1のパンデミックはメキシコシティのスラム街で始まったが、極初期の感染者は狭いところに居たことがわかっている。そしてそこから世界に広まって行った。

これだけ広範囲に広まっているなら、もっと感染者の数はたくさんいても良いはずなのだが、まだぽつぽつとしか広まっていない。感染者の数が把握しきれていないのか。あるいは最初の感染者が2週間も隠蔽されていたから、もっと感染者がたくさんいるのだがまたも情報統制されているのか。これが2番目の不思議。


【不思議その3:強毒性になるには変異の時間が必要】

不思議その1にも書いたが、H7タイプはもともと弱毒性のはずである。

「鳥インフル 中国で死者 H7N9型、弱毒性なのになぜ?」
”「塩基配列をみると、H7N9型は弱毒型で、感染しても呼吸器の疾患にとどまるはず。なぜ死亡に至ったのか理由が分からない」。国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の田代真人氏は、首をかしげる。”
強毒性の形質を得る為には変異を繰り返す必要があり、そのためにはいくらインフルエンザの変異が早いとは言え時間がかかるし、変異の過程で動物などの大量死が起こるので人間側も気がつくと思われる。

それが今回は、いきなり強毒性のウィルスが、いきなりぽこっと産まれてきた。おかしい。ものすごく不自然だ。まるで誰かがうっかり毒の瓶をひっくり返したみたいな印象。

腑に落ちないことだらけで毎日首をかしげている。また何か情報があったらみなさまにもお伝えいたします。