2013年4月4日木曜日

中国のH7N9をめぐる3つの不自然なこと


3日前から上海でのH7N9をめぐる報道が徐々に加熱してきている。私は危機管理の専門家として、また事業継続の専門家として新型インフルエンザを研究してきたので、この感染症については少しは知識がある。前回のH1N1騒ぎのときは東大理Ⅲを出た医者にインフルエンザの講義をしてあげたぐらい(笑)

冗談はさておき、今回の報道には3つの不自然さがある。どうもおかしな騒ぎに発展しつつあるので、いまのうちに指摘しておきたい(長文です)

【不自然その1:H7N9由来の鶏・豚の大量死がない】

今回もっとも不思議なのは、関連しそうな鶏や豚の大量死の事実がないことである。「いやいやいや上海・黄浦江上流で豚がたくさん死んだじゃないか」と思うかもしれないが、あれらの豚からはH7N9が検出されていないというニュースが流れている。

(Yahoo News)
Chinese toll from new bird flu rises to 9 cases, 3 dead

(国内ニュース)
鳥インフルH7N9型、WHOは「感染源がブタの可能性も否定できない」―中国メディア
上海市動物疾病コントロールセンターは1日、中国農業部獣医局と上海市農業委員会の求めに応じ、黄浦江の上流地域から大量に漂流してきた豚の死骸から抽出・保管した34体のサンプルを対象とした鳥インフルエンザの検出検査を行った。この結果、鳥インフルエンザウイルスは発見されなかった。

また昨日のテレビ報道では、感染者のひとりは市場の鶏肉売り場で働いていたというもっともらしい情報をながしていたが、テレビ画面に写ったその市場の様子を見ると、ケースに入れられた鶏は顔色も良く(笑)、ぴんぴんして元気そうだった。もともとH7タイプは弱毒性なのでそのせいかもしれない。

感染ルートはほんとうに鶏ないし豚由来なんだろうか?という疑問がわく。実際に人が罹患している訳だから、科学的に説明のつく感染ルートはあるはずなのだが、いまのところわかっていない。これが1番目の不自然。


【不自然その2:感染がいきなり広範囲で始まっている】

こちらの地図を見ていただきたい。上海周辺に3つのピンが立っていて、それぞれがH7N9の感染例を示している。


http://healthmap.org/promed/

しかしながら、これがものすごく不自然だ。普通に報道を見ていると気づきにくいのだが、これらの3点の距離は、東京・名古屋間ほどもあるのだ。A/H1N1のパンデミックはメキシコシティのスラム街で始まったが、極初期の感染者は狭いところに居たことがわかっている。そしてそこから世界に広まって行った。

これだけ広範囲に広まっているなら、もっと感染者の数はたくさんいても良いはずなのだが、まだぽつぽつとしか広まっていない。感染者の数が把握しきれていないのか。あるいは最初の感染者が2週間も隠蔽されていたから、もっと感染者がたくさんいるのだがまたも情報統制されているのか。これが2番目の不思議。


【不思議その3:強毒性になるには変異の時間が必要】

不思議その1にも書いたが、H7タイプはもともと弱毒性のはずである。

「鳥インフル 中国で死者 H7N9型、弱毒性なのになぜ?」
「塩基配列をみると、H7N9型は弱毒型で、感染しても呼吸器の疾患にとどまるはず。なぜ死亡に至ったのか理由が分からない」。国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の田代真人氏は、首をかしげる。”
強毒性の形質を得る為には変異を繰り返す必要があり、そのためにはいくらインフルエンザの変異が早いとは言え時間がかかるし、変異の過程で動物などの大量死が起こるので人間側も気がつくと思われる。

それが今回は、いきなり強毒性のウィルスが、いきなりぽこっと産まれてきた。おかしい。ものすごく不自然だ。まるで誰かがうっかり毒の瓶をひっくり返したみたいな印象。

腑に落ちないことだらけで毎日首をかしげている。また何か情報があったらみなさまにもお伝えいたします。

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